Type Ⅱaのダイヤ
Nahoko Bolden
美しいペアシェープカットダイヤモンドのリングを制作しました。バナーにも掲載しています。その透明さがお分かり頂けるといいのですが!!!
20数年前 社会人になられたばかりの時に、一粒ダイヤモンドのスタッズピアスをお買い求め頂いたのがasuka様との出会いです。ご結婚 お子様の誕生記念 お仕事のステップアップ 頑張ったご自分へのご褒美(多めらしいです)など折々の記念にジュエリーをオーダーして頂きました。今でも、どれも大切にして頂いて制作者としてとても嬉しいです。今回、ご主人様とご一緒にご来店いただきとても嬉しいお話を伺いリングをオーダー頂きました。
アントワープから送られてきた数点のルース(裸石)をご覧頂きました。その中にType Ⅱa(*1)の天然ダイヤがありました。少しの間考えられてType Ⅱaのダイヤに決定!
ダイヤモンドは、窒素を含むType Iと含まないType Ⅱに分かれます。更に二つ(a,b)に分かれて4つに分類されています。
Type I: 窒素を含む。天然ダイヤモンドのほとんど98~99%
Type Ⅱ:窒素を含まない。天然ダイヤモンドのわずか1~2%、 全てではないですが、確かにType Ⅱの中にダイヤの4C評価とは異なる透明度の高いダイヤがあります。
最近は、Typeが容易に判断できるようになったために、稀少性が高いタイプⅡにプレミアムがつくことがあります。写真の下に(*1)の関連記事を記しました
●中石は1.042ct、D-VS2 、Type Ⅱaの天然ダイヤです。脇石のメレダイヤは全てH&C(*2)のメレダイヤを使用、地金はハードPt950です。
◆中石の輝きがより増すようにメレダイヤとの間に空間を設けました。
◆中石と脇石の一体感を出すように段差を余り付けていません
◆メレダイヤの留めは、メレダイヤのまわりの地金(Pt )をタガネで削り出し、4本爪だけを残してダイヤが浮き上がるようにしました。
◆メレは一個は、直径0.8~0.9mmのダイヤです。ピンセットでも隠れるような小さい石です。カットを揃えて留めていますので、ハートと矢(アロー)は、きれいに整然と並んでいます。尊敬する名人の彫り職人さんに留めてもらっています。
◆リングの内側は、少し甲丸状にし、付けやすく見た目にも優しい腕(アーム)にしました
完成!「全ての願いが叶った指輪を制作頂いて幸せに満ち溢れています」とお気に入って頂きました。
◆日本の中央宝石研究所の鑑定書
◆天然ダイヤType Ⅱaと記載されたサブレポート
◆サブレポートの裏面にダイヤモンドのタイプの説明が書かれています
私達の仕事は、枠を制作する錺(かざり)職人。出来上がった枠に、彫刻とかダイヤなどを留める彫りの職人といます。
枠が出来たら彫りの職人さんに留めてもらいます。出来上がった枠を生かすも殺すも彫り師の腕に掛かっています。
ーー参考ーー
(*1):TypeⅠは天然ダイヤですが、TypeⅡには今話題のラボグロウンダイヤ(合成ダイヤ)もTypeⅡ型に分類されます。
そのため鑑定書にはサブレポートで、天然ダイヤモンドと記載され、ラボグロウンダイヤ(合成ダイヤ)は「ラボグロウン」と明記され天然ではないことが記述されます。
ラボグロウンダイヤは、ラボ(研究所)でつくられた工業製品です。タレントを使って環境に優しく、人にも優しいといった切り口でセールスの拡大を図っています。大きい石も生産されるようになり価格は下落傾向にあります。
(*2):H&C(ハート&キューピッド):ダイヤモンドのカットを見る専用スコープで見ることができます。(写真を参照してください)
プロポーションとシンメトリー(対称性)の優れているダイヤモンドには、上側から見るとアロー 下側から見るとハートマークが見えます。これを「ハート&キューピッド」という名称で呼んでいます。
*GIA:(世界で最も信頼されているダイヤモンドの鑑定機関)は、ラボグロウンダイヤの商圏の存在を認め天然ダイヤか、ラボ(研究所)のダイヤかをはっきり区別して鑑定鑑別をしています。